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手作りのハンバーグなんて2年ぶりだ。
そう言って、
原田はあどけない笑顔を振りまいた。
ひじきの煮付け。
じゃがいもの煮っ転がし。
ビーフシチュー。
ポテトサラダ。
どれもお袋の味がして、
原田は泣けてきた。
こうして家族ぐるみの付き合いが始まり、
原田は高橋刑事の妻、
真由美をお母さんといって慕うようになった。
「もう巾着切りなんかしちゃ駄目よ」
「はい」
原田は一瞬、
更生したかのように見えた。
でもそれは一時期的なものでしかなかった。
原田との連絡が途絶え、
2年が過ぎた、
ある朝。
原田が泣きながら高橋の携帯に電話をかけてきた。
聞けば、
ヤクザの財布に手を出してしまい、
迷惑料を300万請求されている上に、
エンコ切り(小指を詰めること)を強要されているとのことだった。
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