第1話 少年が刑事と出会い更生するまでの、ヒューマンドラマ。

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 数分後、 兄貴分の若衆が、 高橋の前に現れた。  若頭は留守らしく、 こちらから改めて連絡させますという返事だった。  高橋は署に戻り、 若頭からの連絡を待った。  コーヒーをすすり、 どうするのが最善か、 案を練った。  連絡が来たのは、 夕方5時を回った頃だった。 近くのファミレスでお茶をすることになり、 高橋はまたしても車を走らせた。  若頭は既に到着していて、 護衛用に子分を2人、 引き連れていた。  「よう。 元気か」  高橋が挨拶すると若頭は急にペコペコし始めた。  「だんな、 あっしは何も悪いことはしていませんぜ。 お天道様に顔向けできないことは、 何ひとつ。 本当でさ」  「チャカ、 持ち歩いておらへんやろな」  「へい。 ほんま、 ごくろうさんです。 だんなには駆け出しの頃、 よく世話になりやした。 そのせつは、 本当に助かりやした」  若頭は深く頭を下げた。
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