0人が本棚に入れています
本棚に追加
2
私は必死に、物音を立てないように身を竦ませる。知らない。あんな怪物なんて、聞いてない。平穏無事に生きていたかっただけなのに。
友だちは、みんな死んだ。
怪物に殺された。
だから私だけ必死に、遠いところまで逃げて、ここまで来たんだ。
死にたくない。絶対に、殺されたくない。
「ふぅ」
女の吐息が、微かに聞こえた。
殺人鬼は獣の如き反射速度で、その方を振り向いた。
最初のコメントを投稿しよう!