三年後も、四年後も

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 家に母を送り届けると、私はもう一度外へ駆け出した。  何人かの学生たちとすれ違いながら、息を切らして走る。  なにを必死になっているんだろう。いい歳して……馬鹿みたいだ、私。  やがて見えてきた見慣れた校門。私は迷わずその中へ駆け込む。  校舎から出てくる人影はなく、グラウンドでも部活動をやっている気配はない。  いるわけない。いるわけない。誰もそんなところに――。  空からふわりと花びらが舞う。目の前に見える満開の桜の木。あの教室の窓から見た桜の木。その木の下に立つ、スーツ姿の男のひと。 「あっ……」  勢い余って転びそうになった私の体が、大きな手で受け止められる。 「大丈夫?」  聞き覚えのある声。ううん、毎日たしかに聞いていた声。 「大丈夫? 香子先生」  顔を上げると、懐かしい笑顔が私の前に広がった。
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