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「チカ、おまえいつ撮ったんだ。盗撮か」
たやすく写真フォルダの中身を暴かれ、百枚以上はある瑛人の画像を発見されてしまった。
「人聞きが悪いな。気が向いた時に撮ってるけど瑛人が気づいてないだけだよ」
「綺麗に撮れてるじゃん。チカ、案外捜査の仕事もいけるかもな」
「え、本当? へへ」
航生が携帯を覗き込み笑いを殺しながら感心している。瑛人が不愉快そうに窘めてくる。
「おい。照れるところじゃないだろ。ストーカーだろこれ」
「だって瑛人がカッコイイ」
「何がだってだ。消しとくぞこれ。あー大量過ぎて気持ち悪い」
「瑛人『気持ち悪いって言ってごめん』って言ったのに」
「兄貴の悪口なんてそんなもんだよ。気持ち悪いと言いつつ可愛いなこいつ、とか思ってるに決まってるじゃん」
え、そうなのか。赤くなると瑛人がきっぱり否定してくる。
「いや思ってない。可愛いかこれ。怖いだろ。俺がおかしいのか?」
「チカから好かれたかったんだからいいじゃん。超羨ましいよ。天然ストーカーの恋人」
「じゃあ航生、俺と代われ」
「ごめん俺兄貴ほど恰好よくない」
「航生なんか頼まれても撮らないよ。瑛人が一番恰好いい」
へらへらと笑っていると、二人して冷ややかにつっこんできた。
だからそれが恥ずかしいんだって。
END.
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