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「彼女できそうなの?」 「そういうわけじゃない」 「作ればいいよ」 「そんなどん底に暗い顔で言われてもな」 「だって前は俺のせいで別れたんだから」 「それだけでもない」  いつもこの話をしたら瑛人はそう言うのだけど、じゃあ他の理由はというと明確に説明してくれないのだった。  ということは他に理由なんてない。全面的に千景のせいに決まっている。 「ごめんね」  きっと瑛人が言うところのどん底に暗い顔のまま謝ると、彼は苦笑した。 「だからそれだけじゃないって言ってるだろ。もう落ち込むな」  優しい。瑛人がもっとこっぴどく接してきたなら千景は早く見切りをつけられたかもしれないのに。  弟だから優しくしてくれるんだろうな。その繋がりがないならむしろ簡単に終わっている関係なのだから。  いや、兄弟でさえないなら最初から相手にはしてもらえなかっただろう。  瑛人のことが好きだ。  でもそのせいでとてもつらい。やめたい。離れてしまいたい。でも離れたくない。  また例の周期に入ってしまいそうだ。
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