君の世界がすべて逆でも

１４

「ていうか航生は何でこんなしょっちゅううちにくるの？　全然瑛人と二人きりになれないよ」
「二人きりになって何をしようとしてるんだよ？」
「な、何もしないけど…」
「いちゃいちゃすんの？　セックスすんの？　じゃあいいよ、今ここでやれば？」
「最低。下品すぎる。ご飯食べてる時に…」
　あれだけくっつけくっつけと煽っておいて、いざくっつくと邪魔しにくるのは何なんだ。
「寛大に許可してやってんのに。そしておまえは後悔したほうがいい。絶対兄貴より俺のほうが優良物件だから」
「どこが優良なの。劣悪欠陥物件だよ」
「兄貴より俺のほうが絶対巧い」
「何言ってんの。頭おかしいよ。ねえ瑛人？」
「本人が言うならそうなんだろ」
　どうでも良さそうに瑛人は食材を継ぎ足している。瑛人はいつでも冷静で少々つつかれてもまったく揺らがない。競争心もない。航生だけが対抗心を燃やしている。
「ほら、兄貴もああ言ってる」
「瑛人は話聞いてないだけだよ」
「つーかさ、俺詳細聞いてないんだけど。何でいきなりくっついてんの。何でいきなり兄貴に抱かれてんの。あれだけその気がないと豪語しておきながら」
「言いたくない」