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久しぶりに再会して顔を見たらやっぱり好きだと気づいたなんて。
言えばきっと『はあ? 何それ。じゃあさっさと会いに行きゃ良かったじゃんか』と呆れた突っ込みが入るに決まっているから。
「おまえね、俺があんなに親身に相談に乗ってやってただろ。不義理だと思わないの?」
「相談に乗ってなんて言ってないよ。航生が俺のところに押しかけてきてただけじゃん」
「いや、あれはデートだろ」
違う。まさかそう思っていたのか? だったら誤解だと言いたい。それに瑛人にも変に思われる。いや、思っていないか。まったく嫉妬している気配がない。そもそも二人で食事に行けと言うくらい独占欲がない。
「デートじゃないよ。瑛人が誤解するからやめてよ」
「誤解じゃない。事実だろ。おまえのバイト帰りに落ち合って飯食いにいってるんだから」
そこでデートだと言い張る航生に瑛人が嫉妬することなく淡々とつっこんできた。
「おまえチカとデートしたのか? 甘ったるいの食わされただろ。パンケーキとかフレンチトーストとか。生クリームやアイスクリームやマシュマロやチョコレートやキャラメルソースやメープルシロップやらがどかどかかかって粉砂糖を白銀の世界のようにまぶしてるやつ」
「…思い出しただけで吐き気がする」
「お疲れ」
何を労っているのだ、同情心でもって。それに航生が誘ってきたんじゃないか。
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