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「え、何で笑うの」 「言わない。おまえが言わないのに何で俺だけ言うの」 「瑛人、教えて」 「チカ、思い出せ。それが恥ずかしいというならおまえは今までどれだけ恥ずかしいことをしてきた?」  問われて、きょとんとする。今までどれだけ恥ずかしいことをしてきた?  あ、瑛人におんぶさせたこと? あれは今考えたら恥ずかしい。  着替えをじーっと観察したこと? あれも変態みたいで恥ずかしいかも。  べたべたくっついたこと? 外で腕組みしようとしたこと? 好き好き言ったこと? 同じ仕事に就きたいと言ったこと? 骨折した時ご飯を食べさせてもらったこと? 服を着替えさせてもらったこと? 靴下を履かせてもらったこと? デートした時一口ずつ交換して食べたこと? 「…うーん…甲乙つけ難い…。あ、携帯の画面を瑛人にしてること?」 「それは本気でやめろ」  瑛人が青ざめている。知らなかったようだ。 「あはは。何それまじで気持ち悪い」  航生は案の定笑いながら罵ってくる。もうそのくらいの言葉ではめげない。  そして何か思い当たったらしい瑛人がそこでいきなり席を立つと、おもむろに千景の携帯をリュックから探し当て、ロックも解除して中を確認している。いつの間にか解除のパスワードを知られているのは何故だろうか。
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