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 いつも瑛人は慌ただしい。当然ながら決まった時間までに出勤しなければいけないのだろうし、張り込みや調査のために夜中や早朝に出ていくことも多い。警察官とどう違うのか訊かれても千景は説明が難しい。きっと中にいる人間ならまったく違う旨を説明できるし、実際全然違うのだと思う。  食器類を食洗器につっこみ、身支度を整えると瑛人はさっさと出勤してしまった。  もちろん笑顔でいってらっしゃいは欠かさない。  会える時間は少ないけれど、今のこの生活で千景は充分満足している。  瑛人もそうならいいと思っているけど、きっと彼は千景と同じ気持ちじゃない。  時折彼の言動の中に義務感のようなものが嗅ぎとれる。それが気になる。  もしかしたら瑛人は両親に見守り以上の何らかの依頼をされているのかもしれない。  千景を落ち込ませることのないようにしろとか、おかしな行動があれば指導しろとか。  だから邪険に扱えないし、親のように心配して優しさをくれるのだろうか。  そういうのは嫌だ。  瑛人の意思じゃなく優しくするなら、それは千景の欲しいものじゃない。  千景の欲しいものは。  欲しいものは?
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