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【21】裏切り
歯列をなぞり内頬を掠める。
華井が我慢できないように舌を絡めようとする。
宇佐見はわざと焦らしてその舌を避ける。
華井は宇佐見の頬を両手で押さえると、自分から舌を激しく絡めて来た。
「…ん…んん…ふ…ん…」
宇佐見から送り込まれる唾液を華井は喉を鳴らして飲み込む。
もうその頃には宇佐見の下半身は形を変えていた。
そっと唇を離すと華井は唾液に濡れた唇を半開きにして、潤んだ瞳で宇佐見を見ていた。
「涼…」
宇佐見が濡れた唇を舌で拭ってやる。
「今日は無理だろ?」
華井はちょっと恥ずかしそうに頷いた。
「でも…純くんにしてあげる」
そう言って宇佐見の雄に手を伸ばす。
宇佐見はふと気が付いた。
「涼、俺が教えるまで手でしたこと無かったんだよな?
どうして?」
「…兄貴が…俺は何も覚える必要が無いって…。
全部自分がしてやるって言うから」
涼は自分からすることは何も知らない?
じゃあ俺が教えたら?
宇佐見は唇が触れ合う距離で言った。
「涼…今夜は口でしてくれる?」
「…くち…?」
「されたことあるよな?
それと同じことして…?」
「…純くんが教えてくれるなら…やる」
宇佐見は一旦華井から身体を離すと裸になった。
華井はベッドに座り顔を赤くして俯いていた。
宇佐見はシーツに横になると言った。
「いいよ。涼、来て」
華井はそっと宇佐見自身に手を伸ばすと、ペロペロと先端を舐めだした。
「涼…下から舐め上げたら…ゆっくり吸い上げて」
華井は宇佐見の言う通りに口を動かす。
宇佐見は征服感が込み上げた。
あのお兄さんにもしたことを無いことを、俺に初めてしている…
宇佐見の雄が質量を増す。
華井は宇佐見の指示通りにジュボジュボと音を立てながら、小さな口に精一杯雄をくわえて喉の奥に当てる。
「…は…涼…もうイくよ…もっと強く吸って…上下に動かして…」
宇佐見は華井の頭に手を当てると腰を振った。
「んっ…んんっ…!」
「…ああ…イくっ…飲んで」
宇佐見自身から溢れる大量の白濁を、華井はゴクリゴクリと喉を鳴らしながら飲み込むと、「…純くん…」と言って宇佐見の裸の胸にしがみついてきた。
宇佐見はやさしく華井の髪を梳いた。
「…苦しかった?」
「…そんなこと無い…」
宇佐見は華井の顎に指を当てて自分に向かせた。
顔は真っ赤で瞳には涙が滲んでいる。
「…純くんは気持ち良かった…?」
「うん。最高」
華井は照れ臭そうに、「だったら…いい…」と言って、宇佐見を上目遣いでチラッと見ると瞼を伏せる。
宇佐見は愛しさが溢れてくるのを止められなかった。
それから一週間、宇佐見は幸せな毎日を送っていた。
朝、起きると華井がいて、不慣れな家事を宇佐見に付いて回って楽しそうにこなす。
賀川や朔宮や赤坂を誘ってみんなで遊びに行ったり、華井と二人でショッピングや映画や食事に出掛けた。
宇佐見が格闘技の稽古がある時も、楽しそうに見学に来ていた。
ただバイトのシフトがすれ違いだったので、宇佐見は華井がバイトの日は必ず車で迎えに行った。
ただ夜遅くて心配というより、前野が現れないかの方が不安だった。
だがそんな宇佐見の不安をよそに、前野は華井に電話を寄越すだけで姿は見せなかった。
夜は存分に華井を愛した。
華井はセックスは一方的にされるものと思っていて、宇佐見が新しいことを教えると好奇心を見せて、宇佐見の言う通りに動いた。
そんな華井が宇佐見はかわいくて愛おしくて堪らなかった。
華井は月曜日の朝に、「ちょっと大学に行かないといけなくなったから」と言って、朝食を終えると宇佐見の家を出て行った。
宇佐見はすれ違いになっても大丈夫なように合い鍵を渡した。
宇佐見はその日特に予定もバイトも無かったので、掃除でも済ませて夕食を少し豪華に手作りしようか…と考えていたらスマホが鳴った。
画面を見ると同じ大学の学部は違うが友達の三谷からだった。
「何だよ?」
『宇佐見〜まず怒らないって約束して?』
「理由による」
『昨日の夜さ~あと一歩で彼女になれるっていう子とその友達達とデートしたわけ』
「…で?」
『それで俺がやってる少林寺拳法の写真見せたらさ~その子の友達達の食いつきがハンパ無くて…。
今夜合コンすることになっちゃった』
「すりゃあいいじゃん」
『…その写真、お前が見学に来た時ので、お前狙いなんだよね…その子達』
「三谷…お前まさか…」
『だからごめんって!
彼女の友達に悪い印象持って欲しく無かったし、お前の会費は俺が出すし!』
「金の問題じゃねぇ!
ぜってー行かない!」
『宇佐見~只飯食えると思ってさ…頼むよ。
俺、その子本気なんだ』
宇佐見はため息を吐いた。
「今回だけだかんな?
今度こんなマネしたらぶっ飛ばす」
『サンキュー!
じゃあ7時に青山のいつもの店で」
宇佐見は三谷との電話を終えると、華井に今夜は急用が出来て出掛ける、遅くなるかもしれないけど心配しないでとラインした。
華井からは、俺も帰りが分かんないから丁度良いよ、また夜になと返事が有った。
宇佐見は『めんどくせぇ』と何度も心の中で呟きながら、店に向かって歩いていた。
でも涼も用事があって良かった…
顔だけ出したら早く帰ろう…
その時、雑踏の中に華井の後ろ姿が見えた。
涼!?
スゲー偶然!
よし…コンパなんてドタキャンだ!
そう思って宇佐見が一歩足を踏み出した時、信じられない人間を華井の隣りに見た。
それは前野だった。
二人は楽しそうに顔を見合わせ歩いている。
身体こそ触れ合っていないが、華井は嬉しそうに前野を見て笑っている。
前野もやさしく華井の話しに頷き、笑顔で答える。
宇佐見には信じられない光景だった。
思わず二人の後を付いて行った。
二人は青山でも高級なシティホテルへ入って行く。
カウンターで前野が鍵を受け取ると、二人はエレベーターホールへ向かった。
宇佐見はそこからどうやって三谷と待ち合わせた店に辿り着いたか、記憶に無かった。
酒を浴びる程飲んだ。
宇佐見目当ての女にも愛嬌を振りまいた。
三谷がそんな宇佐見を心配そうに見ていたが無視した。
今頃、涼はお兄さんとホテルに居る…
ホテルに入って何も無い筈がない…
宇佐見の胸にどす黒い嫉妬が渦巻く。
それを忘れるために、目の前の酒に、女に、集中した。
ん…重たい?
身体…動かない?
「…純くん…?」
華井は眠りの淵からゆっくりと浮上した。
誰かが自分に馬乗りになってる…
でもここは純くんの家で…
純くんか俺しか居ない筈…
突然ペロリと頬を舐められる。
「…純くん…?なに?今、帰ったの?」
「…涼こそ…よく帰ってきたじゃん」
華井に酒臭い息が吹きかけられる。
「え…?うん…8時には帰ってた…」
「…ふうん…なあキスしていい?」
「…いいけど…純くん…どうし…」
宇佐見は華井の顎を強い力で固定すると唇を貪った。
強く舌を絡められ唾液を送り込む。
華井は余りの酒の臭いにむせかえりそうになりながらも、宇佐見からの口づけに必死に応えた。
そして何の余韻も無く、その口づけは唐突に終わった。
華井は思わず伏せていた睫毛を見開いた。
ダウンライトに照らされた宇佐見の顔が見えた。
宇佐見はニヤリと笑うと、急に大声で笑い出した。
華井が唖然としていると、宇佐見は笑いながら言った。
「あー可笑しい…。
涼…俺、女とセックスしてきたの…。
もちろんキスだってしたし…解る?下だって舐めたよ?
この口でね」
華井の顔色がさっと変わる。
「…涼が受け入れられる…唾液や体液って、俺とお兄さんだけなんだよな…?」
「純くん!どいて…!どけよ!」
華井が自分に馬乗りになっている宇佐見を必死でどけようとする。
「無駄だよ」
宇佐見の冷たい声が響いた。
「涼はこれから俺とセックスするんだから」
「なに…言って…」
華井が真っ青な顔で宇佐見を見上げる。
「ふふ…そんなに怖がるなよ。
昨日もしたじゃん。
それにさっきまでお兄さんと青山のホテルでヤってたんだろ?」
「青山って…違う!
純くんは誤解してる!
ちゃんと説明するから…今はどいて!
洗面所に行かせて!」
「ダ~メ」
宇佐見の指が華井の唇をなぞる。
「吐きたかったら吐けよ。
そんなに震えるなよ。
女とはちゃんとゴムしてヤったよ?
まぁ涼の大嫌いな他人の体液が、俺の身体中に沢山付いちゃったけどな」
華井の全身に鳥肌が立つ。
華井が両手で口を塞ぐ。
「…言っとくけど抵抗しても無駄だから」
宇佐見はそう言うと、華井の身体からサッと降りた。
華井がベッドから降りようと、起き上がりかける。
宇佐見はそれを後ろから押さえつけて、一気に下着とズボンを下ろし、蕾に指をねじ込んだ。
「痛っ…」
「抵抗すんなって言っただろ?怪我するよ」
「…純くん…分かったから…洗面所に行かせて…本当に吐く…」
華井の丸い大きな瞳から、涙が零れ落ちるのが宇佐見から見えた。
「何度口をすすいだって同じだよ?
その度俺はまたキスするし…。
まずは俺のを咥えて大きくしてもらわなきゃ…」
華井が震えながらゆっくり宇佐見に振り向く。
「…純くん…誤解なんだ…兄貴とは何も…」
「うるせぇ!」
蕾にねじ込まれた指が曲げられる。
「ああっ…!」
「それをこれから身体に聞くんだよ。
お兄さんの下でどんな風によがってきたかってな」
「…違う…そんなことして無い…」
シーツにポタポタと華井の涙が染みを作る。
「…純くんが俺を抱くのは構わない。
ただ口と身体を洗ってきて。
それと俺も…」
「ダメって言っただろ?
吐くなら吐けよ」
宇佐見のベルトの外す音が部屋に響く。
宇佐見は華井の身体を片手で簡単に仰向けにする。
華井の口元に宇佐見の雄が押し付けられる。
華井は絶望的な目で滂沱の涙を流しながら宇佐見を見上げる。
「早く」
宇佐見の冷たい声に華井は口を開いた。
それは単なる排泄行為に過ぎなかった。
宇佐見は正面から華井を攻め立てた。
華井は吐き気に耐えきれないように苦しそうに呻いていた。
宇佐見は絶え間なくそんな華井の唇を塞ぎ激しく貪る。
華井の全身は総毛立っている。
腰を打ちつける音と華井の呻き声が交差する。
宇佐見は華井の全身に舌を這わす。
華井の身体がガクガクと震える。
宇佐見が華井の最奥に白濁を放った時には、華井は人形のように、ただ宇佐見から与えられる振動で動いているだけだった。
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