雪に溶ける

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「俺、聞く権利あるよね?」 「そうね」 「どこ見てんの」 「外。不思議な色をしてるから」 「俺の方を向いてよ。じゃなきゃカーテン閉めるよ」 子供みたいな言い様に笑みが零れそうになった。彼の方を向くと拗ねた顔をして私を見てる。 綺麗な顔。 元々整った顔立ちをしてるけれど、それだけでは無くて。 綺麗な肌、まだ10代の。 「自信が無くなったの」 「自信ってなんの?」 「色々……」 言う気がないわけじゃないけれど、渦巻いてる気持ちをうまく言葉に出来ない。 その時、部屋をノックする音が聞こえた。部屋の扉は開けられ、お盆を持った母が入って来た。 「寒かったでしょ。こんな辺鄙(へんぴ)な所まで……こんな物しか無くてごめんなさいね」 お盆には温かい緑茶と色々な菓子が入った籠。母がそれを差し出すと、彼は深く頭を下げた。
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