虹色鼠の教え

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午前でガッコウが終わって、友達とTSUTAYAとゲーセン、マックに寄ってからいつもよりかなり早く帰宅したもんだからやる事も無く、アネキの飼ってるハムスターをゲージから出して遊んでた。 (もてあそ)んでいたのではなく、遊んであげていた。 遊びの方法は簡単だ。 両手でハムスターを包み込む。 片方の手の親指と人差し指で輪っかを作って少し開口部を作るとハムスターはそこから顔を出す。 顔を出したら開口部の先に反対の掌を近づけるとハムスターはそちらへ移動すり。 移動したらその手の親指と人差し指で輪っかを作り…。 の繰り返しだ。 線路を繋げると電車が無限に走るボードゲームがあったけど、あんな感じ。 それをハムスターが飽きるまで付き合ってやる遊びなんだ。 それに飽きたら今度はテーブルに乗せて、ひまわりの種をあげたりと、とりあえず一時間くらいは遊んでいられた。 そこに、虹色鼠が突然現れた。 「遊んでくれてありがとうね」 「えっ?」ってくらいしか思い浮かばなかった。 「あいちゅ」今まで遊んでいたハムスターの方を鼻で指す。 「あ、いや」なんとも情けない返事しか出てこない。 「あのちゃー、お礼にいいこと(おち)えてあげる」 たぶんだけど、さ行の発音が出来ないらしい。 「はぁ」 そう言うと虹色鼠は頬袋からバラバラとひまわりの種を出した。 「一つ摘まんでみて」 言われた通りにひまわりの種を一粒摘まむ。 「ちー!!」 一瞬、怒ったのかと思ったけど、何かしらの呪文のようなものだったらしい。 驚いて(またた)きをした瞬間に僕は向日葵畑の中にいた。 そして真横の向日葵の一番上の葉っぱに虹色鼠もいた。
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