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「新山さん、そろそろ会場に入らないと披露宴が始まりますよ」
ホテルのロビーで佐野さんが迷惑そうな顔をして待っていました。だから先に行っててください、とスマホにメッセージを送っておいたのです。
それにしても。
今日の佐野さんはいつもと違います。
普段の営業用とは違い、オシャレな細身の濃いグレーのスーツ姿がいやにしっくりきているせいでしょうか。しかし、これじゃ王子様というより……。
「まるでホストです」
「えっ?」
「いえ、なんでもありません」
「今日は、珍しくまともな服装ですね」
こんなときに限って感心したように言われても少しも嬉しくありません。
だってブライズメイドのドレスは支給品なのです。
パステルグリーンのロングドレスに花のヘッドアクセサリーなんて私には少しも似合っていないでしょうが、引き受けた以上、仕方がありません。
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