第3話  名付けの権利

1/7
前へ
/64ページ
次へ

第3話  名付けの権利

蛇足の第3話  名付けの権利 ンフーー。 灰竜姫がコップ一杯分のミルクをイッキ飲みして、満足そうな息を吐く。 これはお腹一杯のサインだ。 何も無いときは量が足りてないらしく、催促の泣きが始まったりする。 「可愛いわねぇ。笑ってても泣いててもさ」 「こうしてみると、ただの赤子じゃな。儚さのあまり、どこぞへ消え入ってしまいそうじゃ」 小さなベビーベッドの前には何人も集り、身を寄せあっていた。 昼休みにはまだ早すぎる時間帯にも関わらず、だ。 お前ら仕事はどうしたんだよ。 「レイラ、なんでここに居るんだ。さっさと持ち場に戻れ」 「うんうん、もうちょっと見たら行くー」 「マリィ、お前もだ。職務放棄かオイ」 「フッフッフ。今日は急ぎの仕事がない。故にこうしてノンビリできるのじゃ」 できるのじゃ、じゃねえよ。 ここはオレの寝室なんだっつの。 そもそもマリィは討伐派だったろうが。 「イリア、つまみ出せ」 「はい、ただ今」 「ちょっとイリアさん。離してよ!」 「タクミィ! 子はみなの宝じゃぞ! 独り占めする気かぁぁーッ」 ーーバタン。 小荷物でも片すように、手を汚すこと無く追い出すことが出来た。 よし、悪は去ったな。     
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

133人が本棚に入れています
本棚に追加