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第3話 名付けの権利
蛇足の第3話 名付けの権利
ンフーー。
灰竜姫がコップ一杯分のミルクをイッキ飲みして、満足そうな息を吐く。
これはお腹一杯のサインだ。
何も無いときは量が足りてないらしく、催促の泣きが始まったりする。
「可愛いわねぇ。笑ってても泣いててもさ」
「こうしてみると、ただの赤子じゃな。儚さのあまり、どこぞへ消え入ってしまいそうじゃ」
小さなベビーベッドの前には何人も集り、身を寄せあっていた。
昼休みにはまだ早すぎる時間帯にも関わらず、だ。
お前ら仕事はどうしたんだよ。
「レイラ、なんでここに居るんだ。さっさと持ち場に戻れ」
「うんうん、もうちょっと見たら行くー」
「マリィ、お前もだ。職務放棄かオイ」
「フッフッフ。今日は急ぎの仕事がない。故にこうしてノンビリできるのじゃ」
できるのじゃ、じゃねえよ。
ここはオレの寝室なんだっつの。
そもそもマリィは討伐派だったろうが。
「イリア、つまみ出せ」
「はい、ただ今」
「ちょっとイリアさん。離してよ!」
「タクミィ! 子はみなの宝じゃぞ! 独り占めする気かぁぁーッ」
ーーバタン。
小荷物でも片すように、手を汚すこと無く追い出すことが出来た。
よし、悪は去ったな。
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