第3話  名付けの権利

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部屋に残ったのはオレ、イリア、そして……。 「プクプクしてるー。ほっぺがプクプクー」 「お前の妹だぞ、ダイチ。かわいいか?」 「いもおとー。かわいいー!」 「そうだろうそうだろう!」 4歳(推定)の少年を、オレは高々と抱き上げた。 こっちは元、地底王。 名前がないのが不便だから、ダイチと名付ける事にした。 安直だと言う意見もあったが、オレの心には一切響かない。 「ダイチ、お前はお兄ちゃんなんだ。妹をしっかり守ってやれよ」 「まもるー! クルミもあげるー!」 「それはまだ早いな、もっと大きくなってからだ」 「いつおっきくなる? あした?」 「うーん。もうしばらく先じゃないかな」 早くもダイチは未来に胸を膨らませてる。 こっちの子も負けじと可愛い。 思えば地底王も灰竜姫も、マリィは討伐しろと言っていたな。 実際目の当たりにすると、純粋で愛らしい子供だった訳だ。 どこが邪悪で危険な存在なんだか。 アイツの方がよっぽど危険人物に見えるっつうの。 ーーコンコン。 ドアがノックされる。 噂をすれば影というから、マリィが舞い戻ってきたのかもしれない。 念のため『炎竜』を呼び出す準備をしておく。 「空いてるぞ」 「タクミ様、洗濯が終わりました! 子供の様子はどうですか?」     
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