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「アイリスか、お疲れ。えーっと、子供ってどっちだ?」
「その、ダイちゃんじゃない方です」
「あぁ。赤子の方か。問題ない……」
「どうかされました? 何かご不都合でも?」
「やっぱり名前が必要だよな。あの子だの、灰竜姫だの言ってちゃ可哀想じゃねえか」
バタバタしててすっかり忘れてたが、肝心の呼び名がまだ決まってない。
今日明日にでも名付けちまおうかな。
「よし、赤ん坊の名前を決めるか!」
「賛成! もう遅いくらいだわ!」
「うおっ! びっくりした!」
窓からレイラが顔を覗き混ませて叫んだ。
お前はまだ彷徨(うろつ)いてたのかよ。
「よし、名付け親なら妾に任せてもらおうか!」
「早く仕事行けよオイ!」
部屋のドアをマリィが勢いよく開けた。
「タクミさーん。その権利、私が欲しいですー」
天井の板の隙間からシスティアが頭だけ出してきた。
お前らほんと大概にしとけよ。
子供たちが笑ってるからいいけども、泣き出したりしたら粛清するからな。
それからは阿呆どもがギャアギャアと騒ぎ続けた。
結局その場で決めることはなく、夜に持ち越しとなった。
晩飯後。
いつもの面子が我が家に集まった。
こんな事のために雁首を揃えてる光景が、なんとも滑稽だ。
そう感じる一方で、自分の考えた名前を付けたいとも思う。
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