第4話  鉄の掟

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第4話  鉄の掟

蛇足の第4話  鉄の掟 良く晴れた日は公園。 そんな事を自然と考えるようになったのも、子どもが居るからだろう。 ダイチがやって来るまでは、延々とベッドで寝てたもんな。 晴れの日も雨の日も風の日も、一日として休まずに。 「パパァ、ぼーるであそぼ!」 「いいぞ。ダイチから投げろ」 原っぱで、絵に描いたようなボール遊びが始まった。 ちなみにこの世界には『ボール』そのものが存在しない。 だから先日イリアに簡単に説明だけして、試作品を用意させてみた。 さすがに無理かなと内心思ってたよ。 しばらくして出来上がったのは、ビーチボールとゴムボールの中間みたいな物だ。 なめした動物の皮で作ったらしい。 割と軽いし柔らかいから、子供が触っても安全だ。 しかも小さなコルク栓まである。 これでメンテナンスも出来るから、後々長く使えますねってうるせぇよ。 要望以上の仕事をこなしつづけるイリアが不気味で仕方がない。 だから試作のボールを受け取ったときも、オレの返事は『ありがとう』でも『でかした』でもなかった。 「なんだお前。気持ち悪ぃ……」 と、本音中の本音が飛び出したのだ。 我ながら言いすぎたと思ったが、その心配は不要。     
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