第1話  灰竜姫

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炎が人型に象(かたど)られると、熱波がゴウッと押し寄せてきた。 膨大な熱量の風が、髪や肌をチリチリと焦がしていく。 「現れたか、灰竜姫(はいりゅうき)よ! 妾たちが引導を渡してくれよう!」 「リョーガはオレと前衛! アイリス、マリィ、レイラは下がって援護! イリアは後列の護衛だ!」 熱で揺らぐ視界の中で指示を飛ばした。 たったそれだけでも肺が焼けるように熱くなる。 さらには口の粘膜も一瞬で乾ききってしまう。 戦う前から浮き彫りになる相手の潜在能力に、微かな戦慄を覚えた。 ーーポンッ! 現れたのは生物は、体長がせいぜいが50センチ。 竜と呼ばれる割に、妙に人に近い姿だ。 いや、着目すべきはそこじゃないか。 「なに、あれ?」 「見たところ赤ん坊のようです……けど」 「ようです、というか赤子そのものだろ。なぁマリィ?」 「むむっ!? こんなハズではなかったのじゃが……この力は紛れもなく灰竜姫なのじゃが……」 先程までの緊迫感は熱波に拐われたらしい。 それもそのはず。 目の前には、安らかに眠る赤ん坊が居るだけなのだから。 しかも攻撃や破壊を始める様子は欠片もない。 「なぁマリィさんや? 世界に災いを為す邪悪なバケモノが居るって言ってたよな?」 「いや、その」     
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