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罵られたイリアが頬を染めて、身をくねらせだしたからだ。
そこでオレの目付きが、より一層厳しくなったのは言うまでもない。
そんな経緯で作られたボールだが、実用性は抜群だった。
ダイチはすっかり気に入ったらしく、外で遊ぶときは手放せなくなってしまった。
「パパァーいくよー」
「おう。いつでも良いぞ」
「やぁっ!」
勇ましい声と一緒に投げられたボールは、オレの手元どころか、中間地点あたりで転がる。
お前の腕力が可愛い。
今すぐにでも抱き上げたくなるが、ダイチはボール投げに夢中だ。
ここは慌てず泰然とし、息子の動きを見守る事にする。
それからダイチは何度もリトライするが、一度として長距離を飛ばせていない。
投げては追いかけ、投げては追いかけ。
世話を焼きたくなるがジッと我慢。
「何にせよ、良いもん作ってもらったな」
「お褒めに預かり、光栄でございます」
「やっぱり居たのかよイリア」
「いつでもお側に。昼も夜も」
背後からの声について特に驚きもしない。
『夜も』の部分だけ若干うわずってたが、それも無視だ。
「子供にございますね」
「それは誰の事だ?」
「ダイチにございます。常識外の魔力を持つことを除けば、ごく普通の少年と言えます」
「そうだな。腕力も発想も幼い。あとは魔法がクリアできりゃいい」
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