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普段は見かけないが、ごくたまにダイチは魔法を使う。
レイラやアイリスなんかとは比較にもならない、強力なものだ。
だから安全のためにも、何とかしてオレらで制御出来るようになりたいが。
「畏れながら、御懸念は不要かと存じます」
「なんでだよ。根拠はあんのか?」
「彼自身に危険が迫ったときにのみ、発動されております。力加減は不十分ですが、野放図でもございません。きっと本能がそうさせるのでしょう」
「手加減なぁ。この前、巻き添えをくったリョーガは結構な深傷(ふかで)を負ったぞ?」
「加減をしていなければ、リョーガ様は落命されていたかと」
「……まぁ、そうかもなぁ」
あれは先日、数人で森を散策してた時の事。
突然暴れイノシシが襲ってきたんだが、大人たちの反応が一呼吸遅れた。
だから倒したのはダイチの魔法。
イノシシと見間違われたリョーガが、第二波を食らって撃沈。
全治一ヶ月の怪我をしたことは、記憶に新しかった。
「オレたちは、ダイチをコントロールできると思うか?」
「可能です。前身の経歴にも関わらず、とても善良な人物ですので」
「そうか。そうだよな」
ダイチが純粋な笑みを浮かべたまま、オレたちのもとへ走り寄ってきた。
両手でしっかりとお気に入りのボールを抱えながら。
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