第4話  鉄の掟

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普段は見かけないが、ごくたまにダイチは魔法を使う。 レイラやアイリスなんかとは比較にもならない、強力なものだ。 だから安全のためにも、何とかしてオレらで制御出来るようになりたいが。 「畏れながら、御懸念は不要かと存じます」 「なんでだよ。根拠はあんのか?」 「彼自身に危険が迫ったときにのみ、発動されております。力加減は不十分ですが、野放図でもございません。きっと本能がそうさせるのでしょう」 「手加減なぁ。この前、巻き添えをくったリョーガは結構な深傷(ふかで)を負ったぞ?」 「加減をしていなければ、リョーガ様は落命されていたかと」 「……まぁ、そうかもなぁ」 あれは先日、数人で森を散策してた時の事。 突然暴れイノシシが襲ってきたんだが、大人たちの反応が一呼吸遅れた。 だから倒したのはダイチの魔法。 イノシシと見間違われたリョーガが、第二波を食らって撃沈。 全治一ヶ月の怪我をしたことは、記憶に新しかった。 「オレたちは、ダイチをコントロールできると思うか?」 「可能です。前身の経歴にも関わらず、とても善良な人物ですので」 「そうか。そうだよな」 ダイチが純粋な笑みを浮かべたまま、オレたちのもとへ走り寄ってきた。 両手でしっかりとお気に入りのボールを抱えながら。     
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