第4話  鉄の掟

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泣きわめくアメリアの前に、2つの火球が浮かび上がった。 そのうちの一つがオレに飛んできた。 「クソッ! あっちい!」 激突前に迎撃できたが、かなりの熱量だった。 直撃すれば怪我、下手すれば命を落とすかもしれない。 少なくとも一般人にとっては危険すぎるものだ。 「イリア! そっちにいったぞ、避けろッ!」 残りの火球が飛んでいった。 ダイチとイリアに向かって一直線にだ。 さらにはその2人の背後には民家がある。 避けりゃ良いってもんじゃない、何とか向きを反らさねぇと! 「なにすんだよぉーーッ!」 幼い金切り声が響く。 すぐさま高密度のエネルギーが集まりだし、ダイチの前にも火球が現れる。 そして向かい撃つように放たれ、真っ正面から激突した。 ーードォオオオッ! 互角の火勢が炎の向きを天に変えた。 まるで逆流する滝のようだ。 そして辺りに熱風を巻き起こし、消えた。 被害はほぼ無し。 地面をほんのり焦がし、香ばしい臭いを漂わすだけに留まった。 「おい、大丈夫か!?」 ダイチが地面に倒れこむ寸前、イリアが抱き抱えた。 「ご心配には及びません。力を使い果たして眠っただけです」 「そ、そうか……。マジで焦ったぞ」 「あれくらいの猛々しい情熱で、陛下に愛されたく思います」     
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