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泣きわめくアメリアの前に、2つの火球が浮かび上がった。
そのうちの一つがオレに飛んできた。
「クソッ! あっちい!」
激突前に迎撃できたが、かなりの熱量だった。
直撃すれば怪我、下手すれば命を落とすかもしれない。
少なくとも一般人にとっては危険すぎるものだ。
「イリア! そっちにいったぞ、避けろッ!」
残りの火球が飛んでいった。
ダイチとイリアに向かって一直線にだ。
さらにはその2人の背後には民家がある。
避けりゃ良いってもんじゃない、何とか向きを反らさねぇと!
「なにすんだよぉーーッ!」
幼い金切り声が響く。
すぐさま高密度のエネルギーが集まりだし、ダイチの前にも火球が現れる。
そして向かい撃つように放たれ、真っ正面から激突した。
ーードォオオオッ!
互角の火勢が炎の向きを天に変えた。
まるで逆流する滝のようだ。
そして辺りに熱風を巻き起こし、消えた。
被害はほぼ無し。
地面をほんのり焦がし、香ばしい臭いを漂わすだけに留まった。
「おい、大丈夫か!?」
ダイチが地面に倒れこむ寸前、イリアが抱き抱えた。
「ご心配には及びません。力を使い果たして眠っただけです」
「そ、そうか……。マジで焦ったぞ」
「あれくらいの猛々しい情熱で、陛下に愛されたく思います」
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