第5話  魔物の影

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「だから乗り込んで殲滅しろって? ムチャ言うな」 「事が起きてからでは遅かろう。悲劇を未然に防ぐのも王の役目ではないのか?」 「わーったよ、うっせぇな。森に近づくの禁止にして、攻め寄せてきたら郊外で倒す。それでいいか?」 「むぅ。もうちっとやる気を出してほしいが、落としどころか」 それきり2人は言い募るのを止めた。 オレもこれ以上譲る気は無かったから調度良い。 そもそも今はみんな忙しいんだよ。 リョーガは内政に掛かりきりだし、軍でも新兵の訓練が始まったばかりだ。 オレは子育てと昼寝で手が離せない。 無意味な外征なんか検討の余地すら無いってこった。 食堂での一件以来、特に異常は起きなかった。 平穏を絵に描いたような時間が、さも当然のように過ぎていく。 子供たちと楽しく遊び、疲れたら眠るという理想通りの日々だ。 スケルトンの話なんかすっかり忘れた頃、それは起きた。 「なんだ、この気配……?」 真夜中の静かな時間。 みんなが寝静まっている最中、遠くに不思議な魔力を持つ集団が現れた。 それは徐々にアシュレリタに近づいてきている。 ひとつひとつの力は小さいが、数はかなり多い。 まるで虫の集団を見つけたときのような、何とも言えない不快な気分になる。 「タクミさん、起きてますか?」     
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