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オレはリョーガを率いて、レイラを小脇に抱え、町外れに向かった。
夜中だから人の往来も無い。
目の前には無人の草原が広がっていて、遠くに森が見える。
例の気配はやはり森の方からだ。
「どうだ、視認できたか?」
「……居ました。容貌も話と合致します」
リョーガの言葉を合図にしたかのように、森から白い塊が続々と姿を表した。
真夜中に不似合いな白の集団が、隊列を組み直してゆっくりとこちらへ向かってくる。
ーーカシャリ、カシャリ。
骨が擦れるような嫌な音が聞こえる。
風向き次第では、微かな腐敗臭までが漂う。
死者の軍。
それがどれ程の力を持つか、オレは知らない。
強弱もそうだが、どんな特殊能力を持っているか不明だ。
だから、軍を率いての戦いを仕掛ける前に、オレたちで情報を掴んでおきたかった。
「タクミさん。真ん中に一回り大きいヤツが居るでしょう。アイツが群れのボスじゃないですか?」
「本当だ。あれがスケルトン・ロードかもしれねぇな。装備だって上等だし」
手にしているのは大抵が棒切れ、せいぜいが石斧という中で、立派な剣を持っている個体が居た。
遠目では剣の質までは判らんが、連中の中で一番強そうではある。
ーーまずはアイツを潰すべきか……。
そう考えていると、敵陣に変化が起きた。
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