133人が本棚に入れています
本棚に追加
「この子がそうだってのか? つうか、地底王の時もこんな感じだったよな」
「わからぬ! なぜ揃いも揃って愛らしく甦るのじゃ!?」
マリィが頭を抱える。
その気持ちはオレたちも同じだ。
この状況下で何をしろっつうんだか。
「さて、お前らどうするよ?」
「と、討伐……」
「赤子を手にかけろって? 嫌だね」
「じゃあ、封印を……」
「うーん。それも気がすすまねぇなぁ」
灰竜姫の方をチラリと見たら、ソイツと目が合った。
どうやら眠りから目が醒めたらしい。
宝石のようにキラキラ輝く目だと思った。
その輝きは次第に曇り、眼も湿り気を帯びていった。
口も『への字』に歪んでる。
この様子は、まずい。
「ビェェエエーーン!」
「やべぇ、泣き出したぞ!」
「凄い大泣きです、どうしますか?」
「よし、ともかく泣き止まそう!」
「いいの? だってこの子……」
「ゴチャゴチャ言うな! 悩むなんて後でも出来るんだよ!」
人里離れた山間の洞窟で、見知らぬ赤ん坊のご機嫌を取っている。
なんでこんな事態になったかというと、話は数日前に遡る。
そもそも発端は、マリィの話からだった。
その内容は『アシュレリタから北に進んだ山に、恐ろしい魔物が眠っている』という穏やかじゃないものだ。
最初のコメントを投稿しよう!