第2話  ようこそアシュレリタへ

2/5
前へ
/64ページ
次へ
「何かご不都合でもありましたでしょうか?」 「いやさ、この子が何を飲み食いするか知らねぇだろ。一番詳しそうなのがアイツじゃねぇか」 「恐れながら申し上げます。間に合わせであれば、母乳でよろしいかと」 「そうなのか? 勝手にやって平気かよ?」 「様子を見ながらであれば、問題ないでしょう。正しき対応はマリィ様が戻られてからになさっては?」 「なるほどな。それでいくか」 オレは育児中の女を探そうとしたが、イリアは全然違うことを考えたらしい。 目の前で自分の着ているブラウスのボタンを外しだした。 しかもオレの顔色をチラチラ窺いながら。 何だか無性に腹が立って、イリアの頭にゲンコツを落としてやった。 「何考えてんだ。とうとう露出に目覚めやがった変態か?」 「陛下のお力になりたい一心にございます」 「もしかして母乳出す気か? 出るわけねぇだろ。経産婦さんですかテメーはよ」 「陛下に先端を一頻(ひとしき)り吸われれば母性が目覚め、出るようになるかと……」 ーーガツン! 二発目のゲンコツが炸裂。 タクミ先輩の指導をありがたく受けとれ。 「こっちはもう良いから。お前はあれだ、ベビーベッドを作れ」 「はい、ただ今」 「今日中にな。それから服もだ」 「承知いたしました」     
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

133人が本棚に入れています
本棚に追加