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近未来、羽化病と呼ばれる伝染病が生まれた。
その病は、人を文字通り、虫が羽化して姿を変えるように、ゆっくりと確実に、元の人間が分からなくなる。
伝染性精神疾患で、酷い人格破綻を引き起こし、発症したほとんどを犯罪者にしてしまった。
国内で初の発症者が現れ3年後。犯罪抑止を含め仮設のキャリアー(発症者含む)保護員団体"ハンターギルド"が設立された。
そしてその3年後、正式なキャリアー保護、研究、治療機関"特別防疫機関"が設立された。
◇◇◇
ー…2058年4月
…ザッ、と通信用無線にノイズがちらつく。
「ー監視巡回狙撃班から出動要請です」
涼やかな女性隊員の声に力強い男性隊員の声がかえる。
「ウチの班だな」
「研修予定の新人研究員が遅れていますが?」
「メモでも残してやれ!アイツらに狩られる前に保護せにゃならん」
「はい!」
施設通路をパタパタと足音を立てて走る一人の少年がいた。
新人研修予定の新人研究員。石井晃15歳。中肉中背の明るい髪色の短髪は跳ねほうだいで、申し訳に留められた赤い髪留め、肌つやは良くソバカスがあって、ルーズな服装にピカピカの身分証IDが踊っていた。
◇◇◇
現場は桜の名所で有名な公園だった。
満開の桜の木の下は花びらで白っぽくおおわれ、夜の闇と申しわけ程度の照明が幻想的だが、その空間は酷く血腥い。
長谷川勇治は黒の細身のパンツにTシャツ黒のフェイクレザージャケットを着ていた。胸元にはハンターギルド所属証明IDのドックタグが揺れ腰にはナイフホルダー、スタン銃用ホルスターも下げていたがジャケットで見えない。足下には改造したクーラーボックスの一つがある。
勇治はスラリとナイフを抜いた。
静かだった公園は人と救急車のサイレンなどで賑やかになった。
桜の木の下には首なし死体があって、到着していた特防の志藤班班長、志藤哲也と担当していた巡回狙撃班のスポッターが会話する。
「それで?ギルドのヤツが先着してたのか」
「…」
遅れて現場に着いた晃に志藤とスポッターの会話はこもって良く聞こえない。
白い花びらを汚す酷い死体と今だ生々しい臭いに晃は子供の顔を思いきりしかめた。
◇◇◇
ハンターギルド支部
受付の机に改造したクーラーボックスをドンと置く。
受付の男性職員は顔見知りで気安く
「おお、勇治また首か?本部に持って行ってくれると助かるんだが」
会話中に差し出された紙を受け取り。
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