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少年の方が、俺を見て訊ねてきた。濁りのない瞳で、まっすぐ俺を見ている。
「俺か?」
「うん、ちょっと怪しんだけど」
なんでそんなことを訊ねられたのか? と疑問に思ったが、俺は筋骨隆々としているし、サングラスをかけている。流しているテレビ映画の俳優と似ているから、テレビから抜け出して来た、と思ったのかも知れない。
「良いもんか悪もんかっていうのは、難しいなあ」
自分の仕事は、決して胸を張って答えられるものではない。
男の子が、ショックを受けたような顔をし、むっと力強く眉間にしわを寄せた。
「でも、2では良いもんになるから、安心してくれ」
「じゃあ、良いモンってこと?」
「まあ、そうだな、良いもんだ」
「よかった」
じゃあ一緒に遊ぼうと誘われたら面倒だな、と思い、俺は問診票を原さんに渡すついでに、テレビを子供向けのアニメにでも変えてくれと頼んだ。
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