2 みんなの笑顔を守るために

1/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

2 みんなの笑顔を守るために

       ☆  ケーイチ少年は住宅地にある電柱の影に隠れ、夜道に目を凝らし、ぎゅっとスターステッキを握りしめた。一ヶ月前に現れた、大きな光に託された願いを思い出す。 「みんなの笑顔を守るために、悪いモンスターをやっつけてほしい」  大きな光から受けた説明によると、悪いモンスター、悪モンがこの世界にやって来てしまい、人間に憑依して困っているらしい。悪モンに憑依された人間は夢を奪われ、気力をなくし、悪事を働くモンスターになってしまうのだそうだ。  大きな光に選ばれたケーイチは、それ以来がんばって悪モンをやっつけている。  視線を外し、夜空を見上げる。街灯もあるけど、大きな月が浮かんでいるおかげで、今日は周りを見やすい夜だな、とほっとする。  服のすそをひっぱられ、振り返る。「お兄ちゃん、またよそ見して」と妹のコユキに注意された。コユキの手には、ピンクのスターステッキが握られている。ケーイチのものはブルーだ。  スターステッキの先端にはお星様のかたちをしたものがついている。あの時の光がくれた、大事なステッキだ。これがないと、ケーイチたちは悪モンと戦うことができない。 「お兄ちゃん、来たよ」     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!