2 みんなの笑顔を守るために

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 コユキが少し不安そうに囁いた。「大丈夫だよ、兄ちゃんにまかせな」とケーイチはコユキの頭を撫ぜる。  ケーイチがそっと、顔を出し、様子を窺う。  ずしん、ずしん、と足音を立てながら、悪モンがやって来た。目をぎょろぎょろ動かし、ゆらりゆらりとした千鳥足で歩いている。大きく開かれた口からは、鋭い牙と真っ赤な舌が見えた。だらしなく、垂れた涎が、ぼとぼとと地面に落下している。 「うおおおおおおおおおんんんんん」  悪モンが、尖った巨大な口を天に向け、叫び声をあげた。コユキが、反射的にケーイチのすそを引っ張る。妹の緊張が、ゆっくりとケーイチに伝わってくる。「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ」と、小さな声で唱えたが、それは、ケーイチ自身に向けられているようにも思えた。  ずしん、ずしん、と足音を響かせながら、悪モンがケーイチの隣を通り過ぎていく。チャンスは少ない。通り過ぎた瞬間、スターステッキを使うのが、いつものパターンだ。  息を殺し、悪モンの気配に集中する。歩く速さ、どこを向いているか、荒い呼吸音に注意を払う。影が少しずつ、こちらに伸びてくる。  ゆっくりと、悪モンが電柱のそばにさしかかった。     
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