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見れば江坂の握った妖刀からは禍々しい気が発せられている。
「志童はん、これで江坂も終わりでありんす」
となりでお歯黒べったりが、静かに言った。
「終わり・・・・って・・・・」
妖刀から発せられた、禍々しいまでの黒い気はどんどんと大きくなり、刀をにぎった江坂の手から徐々に江坂を包み込む。
「なっ、なんだこれはっ!お前ら、一体何をしたんだっ!」
叫びながらも江坂の体はどんどん、妖刀の禍々しい真っ黒な気に呑み込まれていくのを見ながら慶覚は言った。
「それは妖刀よっ!普通の刀じゃないわっ」
「むむぅっ、そんなことは百も承知・・・・うぅっ」
「妖刀はね化け物の魂を喰らうのが大好きなのよ。あんた知ってるかしらねぇ?妖よりも幽霊よりも、鬼よりも・・・この世で一番怖いのは卑しい人間の魂だってこと。つまり、その妖刀が真っ先に欲するのはその腐りきったあんたの魂なのよ!ちょーとまだ覚醒しきってなかったから、あたしたちがさっき気を送ったの」
髪切りが体をくねらせながら決め顔でそう言うとウインクをした。
「あんさんは、もうおわりでありんす。観念しなんし」
目の前で断末魔を上げて、妖刀の放つ気に飲み込まれていく江坂を見ながら、俺の意識は徐々に遠くなった。
傾いていく俺の体を、尊が支えたような気がしたけど俺はそこで意識を手放した。
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