体育館倉庫前

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きれいだった。 何も知らない月明かりが照らしたこの場所。 何の罪もないはずなのが憎らしかった。 ぼーっとしていた。 どれくらいの時間がたったのか。 いつの間にか、1人ぼっちだった。 置き去り。 部活中に着ていた汗の臭いのする運動着。 リフレインする静かに響いていたキスの音。 あれは、夢なんかじゃなかった。 重い腰を、奮い立たせて持ち上げた。 喉が渇望する潤いを求めて、その場を這うように飛び出した。 きれいだった。
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