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「離してください……」
「嫌だ…」
嫌だ…って。先輩、子供みたいだ。
私が離してと言うと、先輩の腕の力が強まった気がした。
「ちゃんと話聞いてくれるまで、離さない……」
「……」
「俺の話、聞いてくれる……?」
私は頷いた。
先輩の話って…何だろう?
抱きしめられる力が少し弱まって、先輩と私の間に隙間ができた。
先輩の顔が見れる距離。
でも、先輩の手は私の背中にあって、先輩は私を逃さまいとしっかりその手を組んでいる。
先輩の目は少し揺れていた。
不機嫌な先輩も、冷たい表情の先輩も、困った顔の先輩も私は知っている。
でも、こんな弱々しい先輩の表情は初めて見た。
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