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「付き合ってください」
高校2年の冬。
私、浅井 麗美は同じ部活の先輩、笹川 拓巳先輩に告白した。
「いいよ」
素っ気ない返事だったけど、先輩が彼氏になってくれたと思うと私は飛び上がりたいほど嬉しかった。
あれから、二ヵ月。
『今日は、一緒に帰れますか?』
寒くなってきた風に身体を震わせながら、かじかむ指でメールを送った。
はぁ と小さく息を吐くと白い煙が溢れ、もう冬なんだと感じられる。
♪~♪~
送信して間もなくなった携帯を開くと、受信を知らせるものだった。
『無理』
その二文字にひどく落胆する。
用があるとか、先に帰ってとか言われる方が何倍もいい。
嘘でも理由づけられる方がまだこんなに落ち込まないでいられるのに……。
『わかりました』
精一杯の気持ちでそう返信した。
先輩と付き合ってからこれまで、ずっとこんな調子だ。
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