魔剣

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「一旦休憩を取りましょうか?」 馬の蹄の音に合わせてお気に入りの曲を頭の中で再生する遊びにもそろそろ飽きて来たころ、ナイトが聞いてきた。 「あとどれくらいかかるんだっけ?」 もう3時間近くは歩いている。(実際歩いているのは馬だが) やっぱり馬車で来た方が良かったかもしれない。 背もたれのある椅子に座りたいものだ。 「このままこの調子で行けばあと2時間くらいで到着する予定です。」 「そっか。じゃあ、ちょっと休憩しよっか。」 強がって上から言ってみたが、正直めちゃくちゃ疲れてる。 普段遠征やなんやら鍛えている兵士にとってはこれくらいなんともないのかもしれない。 これなら風の魔法で目的地までひとっとびした方が楽だ。 「わかりました。では、先頭にそう伝えてきます。」 「あっ」 そう言い駆けだそうとしたナイトを慌てて止めなければと、とっさに腕を掴んだ。 「お嬢様?」 「い、いや、えーと、、、」 このままナイトを行かせてしまったら、また殴られてしまうのは目に見えている。 「ナイト、僕が伝えてきます。」 エリアスは私の意図を汲んでくれたみたいで、そう言うと馬を前へと走らせて行ってしまった。 「お嬢様、申し訳ございません。」 そう言うとナイトは気まずそうに下を向いた。 「別に謝るようなことはないと思うんだけど、、、」 「どうでしょうか。」 自虐的に言う。 これは、心を開ききるにはまだまだ時間がかかりそうだ。 いや、そもそも心を開いてくれる日が来るのだろうか?
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