40人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくするとエリアスが、兵を一人連れ、戻って来たと思ったら早口でこう言った。
「問題が起きました。現地では戦闘中のようです。」
「せんとう?」
銭湯?
温泉でも偶然掘り当てたのだろうか。
兵が湯につかっている映像が頭に流れる。
「状況は、」
ナイトの言葉にエリアスは首を横に振る。
「良くない。敵は黒の旗を掲げていたらしい。」
そうナイトに言うエリアスの声は低く、顔は険しい。
これはボケてる場合ではないようだ。
「えーと、、、?」
黒の旗、、、
黒色をシンボルカラーにしてるのはどこの国だったかな。
ナイトの方を見るとこちらも眉間にシワを寄せている。
話についていけず、2人とは違う意味で眉をひそめていた私に気が付いてナイトはほほえんだ。
「お嬢様、ウェールズという国をご存知ですか?」
「うん、わかるよ。確か、この世界で一番大きな国だよね?」
隣国で、この世界で一番力を持っている国であり、わが国最大の敵国だ。
魔力での戦闘を得意としているとディオから習ったことがある。
「その国が、攻めて来たってこと?」
魔剣が見つかったのはこちらの領土だ。
ということは国境の守り網を掻い潜ってウェールズはこちらの国へ来たということになる。
「攻めに、というよりは話を聞く限り、魔剣を奪いに来たようですね。」
「情報が洩れてるってことは、やっぱり、どっかにスパイがいるってことなんだよね。」
魔剣が見つかったのが三日前。
そこからのらりくらりと準備をしたものだから、情報はどこから漏れてもおかしくない。
尤も、準備に時間がかかったのは、マコトが魔剣回収に同行すると言ったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!