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「どういたしましょうか?」
エリアスがこちらへ聞く。
周りの兵達もそわそわしながら、こちらを見ている。
「え、えーと、私が決めるの?」
「はい。陛下。私たちはあなたの仰せのままに行動します。」
プレッシャー。
国王としての重要な判断を迫られる時のいつもとは違う丁寧な言葉遣い。
「どうすれば、、、いいと思いますかね?」
臣下に案を求めるのは、自分でもどうかと思うが、情けないことに1人では案も策も思い浮かばないのが現状だ。
そんな私にいつも文句言わずについて来てくれる爽やか青年は答えた。
「撤退するのであれば、現地に早馬をここから行かせて撤退命令をだせます。そして、我々も城へ引き返します。 そのまま魔剣を取りに行くのであれば、少し速度を上げて隊の到着を早めることができます。」
あくまで提案だけ。
最終的な判断を下すのは私だ。
さて、どうしようか。
マコトは目をつぶった。
今、この間にも現地では攻防戦が行われているのだろう。
こちらが不利な戦況であるという事であれば撤退命令が早ければ早いほど、いいに越したことはない。
争いで兵に傷ついてほしくない。
それに、私たちが到着したからと言って魔剣を手に入れることができるとは限らない。
もしかすると、到着した時には敵の手の中にあり、撤退した後かもしれない。
でも、もし魔剣が手に渡ってしまったら、、、、
しかも、それが ”崩壊の剣” だとしたら最悪だ。
この世界を崩壊させるほどの威力の魔剣。
実在するのかどうかも怪しいとマコトは思ってはいるが、この世界の人々が信じて止まない伝説の剣。
その伝説の剣は今やこの世界の力の象徴だ。
手に入れた国がこの世界を統べることになる、とかなんとかでどこの国も血眼で探している。
そんな剣をウェールズに渡すわけにはいかない。
あの国に渡せばきっとよくないことになる、、
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