魔剣

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・・・・・・ 「おかしいですね。」 全力で走らせていた馬を止めてツーは呟いた。 「この辺りから待機している兵に案内をしてもらう手筈だったのですが。」 「ってことは、、、行き詰まり?」 そう聞きながらマコトは息の荒い馬の頭を撫でた。 「いえ。だいたいの位置はわかりますから、このまま進みましょう。」 さっきから同じような景色なのにこの人達にはちゃんと地図が頭の中にあって更に現在地がGPSでも搭載されているかのようにわかるのだろう。 ふと地面を見ると黒い液体が土に染み込んだ跡がある。それは点々と道の先へと続いている。目で追っているとナイトが説明する。 「これは血の跡です。」 嫌な予感はしていたけれど、やっぱりそうなんだ。 「だいぶ時間が経っています。この辺りから身を隠しながら歩いて行くことにしましょう。」 そうツーが言うとナイトは来た道に向かって風の魔法を放った。 砂煙が舞い上がる。 馬の蹄跡を消したのだろう。 「ナイト様、これ以上は、、、」 ツーがナイトへささやくとナイトはこちらを向いた。 そこで私のことを言っているのだというのを察した。 これ以上は、、、の後の言葉は容易に察知できた。 案内役の兵がいなかったこと。残された血痕。 これ以上は危険だから国王である私は後から来る部隊と合流するまでここで待て 、ということだろう。 ダメ、絶対。 私は素早く腕をクロスさせ、高々と挙げた。 「だ、そうです。」 ナイトは苦笑いしながら言った。 「はぁ、陛下が言うのであれば、、、わかりました。」 ツーは何があっても知りません といった感じに無表情で答えた。 わがままな女王で申し訳ない、、、。 馬を道から見えない森の中に括り付けると、そのままわざと道を逸れた森の茂みを進んで行く。 そのまま歩いて行くと、先行していた、フォーとツーが立ち止まっていたかと思うといきなりその姿が見えなくなる。
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