魔剣

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「フォーが様子を見に行くようです。お嬢様、敵がいますのでこちらへ身を隠して下さい。」 ナイトに手を引かれ木の陰へ隠れる。 木々の隙間からわずかに見える道では白い仮面を被り、黒いスーツを着た男達がうろうろしている。 「社畜仮面舞踏会。」 「シャチク?」 私の言葉にエリアスが呟く。 「あれはウェールズの兵士です。」 「兵士?」 その呼び名に違和感を感じる。 いや、兵士っていうよりはさ、 「サラリーマンじゃなくて?」 「サラリー、、、マン?」 聞いたことのない言葉にエリアスは首を傾げ、「兵士です」とナイトはバカ正直に答えた。 そのスーツ姿の男達は両腰には一本ずつ剣を差し、更に背中にもクロス状に剣を背負っている。 「まさかとは思うけど、4刀流とかじゃないよね?」 「えぇ、違います。中にはそういった芸ができる奴もいるかもしれませんが。」 芸って、、、 まぁ、いたとしても剣を4つもガチャガチャするのは戦闘には向いてなそうだよね、、、 「4つ剣を持っているのは、予備、というのもありますが、魔剣を持っている可能性もあるということです。」 「えっ、同じ値段でステーキを?、、、じゃなかった、一般兵が魔剣を?」 「はい。ウェールズはたくさん所持していますからね。それに生成する技術も持っています。」 「ええっ」 うちの国の魔剣は宝物庫に保管してある数本のみだ。しかも、これは初耳、魔剣って新しく作ることができるのか、、、 ウェールズでは魔剣がインフレーションしてそうだ。 「戻りました。」 いきなりの背後からの声にビクリと思わず、肩を震わせてしまう。 そこにはフォーが申し訳なさそうな顔をして跪いていた。 なんか、、、、ごめん。 「陛下、見たところ、この場は完全に占拠されています。魔剣は確認できませんでしたが、既に敵の手かと思われます。」 「ありがとう、フォー。でも、魔剣を手に入れてるのだとしたら、何で敵は撤退してないの?」 「わかりません。何かトラブルがあり、魔剣を手に入れる事ができていないのか、、、いえ、奴等に限ってそういうことはないでしょうから、何か企みがあるのかもしれません。どちらにしろ、陛下は一旦下がっていただいたほうがよろしいかと。敵はお望みでしたら、我々が蹴散らします。」 「ま、待って。うちの国の兵はどうなってるの?ほら、案内役の人とか、、、」 私の質問に困ったようにフォーはナイトの方を見た。 ナイトが頷くと、フォーは口を開く。 「全滅に近いです。ほとんどが、殺されているでしょう。」 「くそ!!あいつら、殺してやる!」 エリアスが怒りを露わにする。
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