魔剣

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「そうするしかなさそうだが、、、待て。おかしいな。」 ナイトが首をかしげる。 「この先に空間なんてあったか?」 前方が明るくなっているのが見える。 必死に走るうちに後ろからの攻撃はいつの間にか止んでいた。 「いえ、そんなはずは。」 フォーが答える。 「誘導されたか。」 ナイトは顔を歪めた。 歩みを止めると、ツーやフォーは背中を木につけ、陰から広場の様子を伺っている。 マコトも木の陰から様子を伺おうとするが、その目を誰かの手が覆った。 ・・・・・ ナイトはとっさにマコトの目を覆った。 見るに堪えない光景だ。 まばらに仮面の男達がいる中心には我が国の兵がゴミの様に積み重なっている。 周りには血溜まりができ、鉄の匂いが充満している。 その山の上では一人の小柄な白髪の男が退屈そうに錆びた剣を眺めながら足を組み座っている。 その男も他の男同様仮面を被っているが服飾が豪華なのを見ると位が高いことがわかる。 その光景にさすがの精鋭部隊の2人も息を飲んだ。 エリアスは怒りを抑えきれずにプルプルと震えている。 今にも飛び出しそうな勢いだ。 実際、お嬢様を守るという任務がなければ敵に飛びかかっていただろう。 お嬢様は俺が覆った手の平を自分の手で包み込んだ。 「ナイト、大丈夫だよ。」 「お嬢様、しかし、、、」 この少女にこの光景は耐え難いものだろう。 とても残酷な風景だ。 先ほどの反応を見ても自分のせいだと責任に感じてしまうに違いないし、それでふさぎ込んでしまうかもしれない。 そうなると、、、、、 「ナイト、私は半端な気持ちで国王になったんじゃない。覚悟は決めてる。」 【覚悟】それはこの国ではとても重い言葉だ。 生半可な気持ちで口に出してはいけない。 「本当にいいのですね?」 ナイトはそっと手を離した。
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