魔剣

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鼓膜を突き破りそうな程のもの凄い音とともに砂埃が宙を舞い、視界は遮られる。 轟音は森中を響き渡り、鳥達は一斉に空へ飛び立った。 腕で飛んでくる石つぶを防ぎ、風の魔法で砂ぼこりを避けて視界を確保する。 「ナイト!エリアス!」 名前を叫ぶが返事はない。 巻き上がる砂埃を大男が大剣を一振りして取り払う。 目を必死に凝らして2人の姿を探すがそこには2人も、戦っていたスーツの姿もなかった。 ただ、森が割れていた。 モーゼもびっくりだ。 さっきまで木々が生い茂っていたところに道ができている。 きれいな一直線で2トントラックが通れそうな道。 ただ、道は凸凹で、手抜き工事にもほどがあるけれど、、、。 「ちっ、役立たず。」 白髪の少年は舌打ちをする。 「申し訳ございません。」 少年の方に向くと大男は膝をつき謝罪の言葉を口にした。 つまり、この男の攻撃は失敗したということでいいのだろうか? エリアスは隊長を務めるほど魔法、剣術に長けているし、ナイトだって、、、強い、、、多分。 だから、二人は無事だ。 マコトは自分に言い聞かせた。 「まぁ、いいさ。これぐらいじゃないと面白くないよね。さてと、、、邪魔者もいなくなったし、」 少年は立ち上がるとこちらを見下した。 仮面の隙間から見える琥珀色の瞳と目があう。 とても冷たい目だ。
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