再会

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もしかして、今のうちなら逃げることができるのではないか? 目だけを動かして状況を確認する。 スーツの姿は5人、いや、6人。 逃げ道は、、、、ちゃんと帰れる自信はないけれど、とりあえず森に飛び込むしかないか。 瞬間、視界の端が銀色がキラリと光り、反射的に刀を振る。 キーン 金属同士のぶつかる音が響く。 ナイフが地面に落ちると少年は嬉しそうに笑った。 そう簡単に逃がしてくれそうにはないようだ。 「これくらいならできるんだね。伊達に国王をやってるわけじゃないみたいだ。」 何も言えずに突っ立ていると少年は話を続ける。 「まぁ、そう警戒しないでよ。ってナイフ投げて言っても無理だよね。それに君の国の兵士を殺しちゃった。」 そう言うと少年は折り重なった兵士の山を指さした。 マルコフは痛みなのかそれとも死への恐怖なのかわからないが涙を流しながら首元を押えうずくまって いる。 まだ息はあるもの流れる鮮血の量を見る限りもう彼は助からないだろう。 冷静に。冷静に。 息を大きく吸って吐く。 「あなたは、、、誰?」 やっと出て来た声は情けなくなるほど、小さかった。 「やだなぁ、気づいてるくせに。」 そう言うと【残虐非道】と呼ばれている少年王は口角を上げた。
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