40人が本棚に入れています
本棚に追加
咄嗟に受け止めることができてよかった。
マコトは腕の中のツーをのぞきこんだ。
気絶をしているようだ。
息はしていて、大きな外傷はなさそうだが、顔には殴られた跡がある。
この調子だと体の方も殴打されているに違いない。
「これが、国王?なかなか笑わせますね。」
ツーの様子を窺っていたマコトはハッと顔を上げた。
微笑する桃色の髪の男の長髪が風に揺れる。
「へっ、本当に国王自ら魔剣を取りにくるとはな!」
赤毛の男は、そう言うとへらへら笑った。
するとその男を指して少年王は言った。
「ねぇね、さっきの話、なんならコイツと君の部下をトレードしようよ。」
「ええええ!?」
一番驚いたのは指を指された本人だ。
「いや、いいです。彼、ガサツそうですし」
とりあえず、お断りだ。
ちょっと口悪そうだしね。
「ええ!?ソクトーかよ!ってか、お前、女の癖にチョーシ乗んなよ!!」
「いえ、当たってますよ、Rはガサツです。」
桃色の髪の男が何故かフォローしてくれる。
「おま!!」
「あと、誰の事を言ってるかわかりませんが、いくらお金を積もうが私の部下をあなたに渡す気はありません。」
「誰の事かわからない?」
白髪の少年は一瞬怪訝そうに顔をしかめたと思うと、いきなり笑いだした。
「ははは!そうきたか。まぁいいさ。君に彼は手に余る。きっと自ら手放す時がくるだろうね。」
本当に誰のことを言っているのだろうか。
それに、手放す?
「今日は僕は機嫌がいい。あんた達を見逃してやるよ。」
その台詞はその気になればいつでも潰せる、ということだろう。 悪役の悪い癖だ。
でも、力ずくで奪ってやる!!とか言われなくて良かった。
恐らく私一人では、この3人を相手には勝てないだろうから。
「10秒待ってあげるよ。それで、僕らの部下が君を追いかける。部下と言っても使えないような下っぱだから、逃げ切れるよね。ま、逃げ切れなかったら君は死ぬだろうけど、それはそれでしょうがないことだ。アドバイスをあげるとしたら、、、そのお荷物は置いて行った方がいい。」
最初のコメントを投稿しよう!