魔剣

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横を見ると、紫の鬼は真剣に資料を見ている。 私は自身の机の資料の山に目を戻すが、やる気は毛頭ない。 「ねぇ、スヴェンさんってさ、なんで私の臣下になってくれたの?」 貴族の中の貴族。 いわゆる大貴族であるバイルシュミット家の出身の彼は安定した地位を持っており、 何もしなくても生涯安泰に暮らしていける、、、寧ろ何もしない方がいいくらいだ。 当主だって兄のダレンが継いでいるのだから次男であるスヴェンさんが何かをしなければいけない、ということもない。 実際、貴族の当主を継がない者は怠け者がほとんどだ。 だから、こうしてわざわざ危険を侵してまで国王の臣下になるなんて本当どうにかしている。 それはスヴェンさん自身が一番よくわかっている事なのだろうけど、、、 期待はしていなかったがやはり質問に対する返事は返っては来ない。 この男が何故臣下になったのかますます疑問になるだけだった。
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