再会

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そうこう答えの出ない自分に若干苛立っていると誰かと一瞬すれ違った。 慌てて地面に足を着けブレーキをかける。 振り向くと向こうも同じように、地面を擦りながらすばやく踵を返し、すごい勢いでこちらへやって来る。 「ナイト!!!」 嬉しくて大声で叫ぶ。 ナイトの白いマントとその隣で見慣れた紫のマントが翻る。 「止まらず走れ!」 ナイトと一緒にいる紫のマント、緑の軍服の男がこちらに向かって叫ぶ。 「は、はい!」 その勢いに驚きつつ、また走り始めるのと同時に体が軽くなる。 あっ と思った時にはナイトが私を抱えていた。 横では知っている男がツーを肩に担いでいる。 「スヴェンさん!」 こういう状況だというのに、何故か嬉しくなってしまい、名前を呼ぶと臣下である彼は一瞬だけこちらを見た。 相も変わらず無表情だ。 ナイトの肩越しから後ろを見ると、そこまで近づいていた敵がどんどん小さくなる。 この人達がもし、本気になれば私なんて目じゃないのだろうなぁ。 マコトはナイトを見上げた。 その視線に気がついたのか、息も切らさずに彼は微笑んだ。 「まだ油断はできませんが、とりあえずご無事でなによりです。」
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