再会

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・・・・ 道端の木に背を預け、膝を抱えて座る主に近づく。 俺が近づいているのに気づいているはずなのに、下に向けている頭は上げようとはしない。少し、無防備すぎないだろうか? まぁ、無理もない。 あの死体の山を見て、平常を保っていただけでも流石のものだ。 以前から所々、ただの【異人】だとは思えないところがあったが、やはりそうなのだと今回は確信した。 異人、とは我々の世界とは別の世界からやってきた人々のことだ。 それはニホン、という国の人々が多く、このニホンの人々は争いのない国で平和に暮らしているという。しかし、お嬢様は「赤子の様な純粋で柔な人種」、と揶揄されている異人たちとは何か違う。 「火事の方はスヴェン様が火を消したようです。お嬢様、お疲れになったでしょう。帰りは馬車の中でゆっくりと、、」 そう言うとお嬢様の手にぐっと力が入る。 「すぐ撤退していたら良かったのかな。」 「さぁ、どうでしょうか。しかし、撤退を選んでいても同じような結果になったのではないか、と私は思います。」 これは本当だ。 隣国の王はお嬢様とコンタクトを取りたくて来たようだった。 奴はどんな手段を取ってもやりたいことはやる奴だ。寧ろ、まだ比較的穏便に済んだ方なのではないか、とすら思える。 いや、それともまだ何か、、、 「あの、、、広場に残してきた兵はどうするの?」 「もう少ししたらまた様子を見に行きます。もし、敵がいなければ生きている者は医療班が急いで治療します。」 尤も、あの状況だと、生きている者などほとんどいないかもしれない。 「さぁ、行きましょう。みんな心配していますよ。」 そうお嬢様へ手を差し伸べた時だった。 遠くから森の木々が倒れる音が響く。 瞬時に振り向くと、鳥が一斉に空を舞い、砂埃が黙々と上がっているのが見える。 それを見て兵士たちがなんだ?と顔を見合わせている。 「受け止めなきゃ、、、」 そう呟くと先程まで膝を抱えていた少女は地面に手をつくと身構えた。 その目には光が戻っている。
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