再会

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・・・・・・・・・ マコトは一瞬で理解した。 「何か」が砂ぼこりを上げ、木々をなぎ倒しこちらへと向かってきている。 過去に見たことのある光景だった。 マコトはしゃがんだ姿勢のまま地面に手をつけると、向かって来る物に対して魔法で遮る様に幾つもの巨大な土の壁を作った。 それで「何か」を受け止めようと思ったのだ。 しかし、壁は次々と破壊され勢いは止まらない。 スヴェンさんが兵に急いで退避するように指示するのが聞こえる。 マコトは急いで立ち上がると野球のバントを受けるように両手で刀を構えた。 自分で受け止めるしかない。 ここで受け止めておかなければ、どこまで大地を削り続けるのかわからない。 その先に村や街があれば最悪だ。 受け止めることができなくても、上空に軌道を変えることが出来ればいい。 しかし、ナイトが庇うように私の前に立った。 「ナイト!」 「お嬢様、お下がり下さい。そんな物ではアレは止められませんよ。」 そんな物? 「じゃあ、どうやって?」 スヴェンとエリアスが呼んでいる。 しかし、マコトはその場から動く気にはならなかった。 「私に任せて下さい。」 そう言うとナイトは微笑んだ。 偽物の笑顔だ。 何か静かに怒っているようにも見える。 マコトは刀を鞘へとしまった。 痺れを切らしたスヴェンとエリアスがこちらへ走ってくる。 倒れる木々の音がうるさい。 そんな中ナイトに向かって叫んだ。 「ナイト!飛んでくるのは魔剣なの!」 ナイトがまっすぐ前を見据えたまま頷いたかどうかというところで、その「何か」がナイトを吹っ飛ばした。 まるでスローモーションでも見ているような気分だった。
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