再会

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・・・・・・・ 随分と森の奥に飛ばされたものだ。 大きく出来た溝を歩いて行くとその突き当たりに白い軍服が見える。 「大丈夫か?」 そう聞くと奴は苦笑いした。 「スヴェン様、この様な恥ずかしい姿をお見せして申し訳ありません。」 どうでもいいことに謝罪するあたり、致命傷ではないらしい。 奴は木に背を預け立とうとしていたが、ガクリと膝を落とし顔を歪めた。 どうやら体が痛み、力が出ないらしい。 「「様」なんて付けるな。」 私がそう言うとナイトは俯き気味だった顔を上げた。 「手を貸してやってもいいが、、、腕はイカれたか。」 腕は下にだらりと垂れ下がり、利き手の左手には錆びた剣が握られている。 まさか、魔剣、、、か? 「えぇ、足も少し。しかし、早く陛下の元へ戻らなければ、、、」 「大丈夫だ。アレクセイを付かせた。エリアスもいる。」 「ありがとうございます。では、もう少し回復したら手を貸して頂いてもよろしいでしょうか?」 「あぁ。」 困ったように笑う奴の心は見透かすことができない。 「しかし、なぜそれを受け止めようと思ったのだ。そうなることは目に見えていただろ。」 戦闘経験が豊富なこいつが、こんなことも想像つかなかったわけがない。 「お嬢様が、、、国王陛下がそうしようとしていらっしゃったからです。」 「だからと言って受け止めなくても良かっただろ。お前なら、」 「いえ、陛下が受け止めようとしたのには何か理由があるのかもしれない。」 「そうかもしれないが、、、」 そういうことではないのだ。 「あなたの言いたいことはわかります。しかし、以前のような事はもうあり得ません。」 ナイトは、はっきりと言った。 「マコト陛下はあのお方ではないのですから。私がマコト陛下に心まで許す日はまずないでしょう。」
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