魔剣

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「意外、ですか?」 「うん、だってスヴェンさんってずっと部屋に引きこもってるイメージだし、エリアスみたいに遠征とかしてないみたいだし、、、」 城の中で判を押したり資料に目を通したり、ずっとそういう雑務をする担当者かと思っていた。 いい体格してるので、執務をするにはもったいない人材だとは思ってはいたけれど、、、 「執務ばかりをしているイメージということですね。まぁ、第6兵隊と第7兵隊は城を守っている隊ですから、何もない限りはほとんど城から出ることはないのです。以前はスヴェン様もよく外に出ていましたが、いくつか前の代に新しく就いた王が執務を全員殺してしまい、代わりに仕事ができるのがスヴェン様しかおらず、自然と今の形になったということです。」 さわやかな顔をして結構えげつない事を言う。 「じゃあ、前は執務をしていた人が何人かいたってこと?」 「えぇ、たくさんいましたよ。」 「たくさん?じゃあ、スヴェンさんはそれを一人でこなしてるってのはすごい事なんだ。」 「えぇ、とても。」 「へー」 未だコミュニケーションをちゃんととった事のない臣下の一面を知った。 ・・・・・・ 王の教育者であるクラウディオは、国王を見送ろうと、エントランスへやってきた。そこに、見知った姿を見つける。 「スヴェン様、そんな遠くから見送らなくとも、、、」 「別に見送りに来た訳ではない。」 ぶっきらぼうに答える彼の目線は完全に中庭だ。 「本当は一緒に行きたかったのでは?城はライトやウルースランに任せればいいでしょうに。」 私はスヴェン様が本当は城から出たくてうずうずしているのを知っている。 一緒に行きたい、と言えばマコト様は快く引き受けてくれるに違いないのに、彼のプライドが許さないのだろう。 やれやれ、ことごとく素直じゃないお方だ。 「なぜ、行かなければならない。そんなことより執務が溜まっている。」 そう言うと彼は踵を返し、大きなくしゃみを一回すると執務室へと戻っていく。 おや、誰かスヴェン様の噂でもしていたのかな? 気品のある彼にしてはくしゃみとは珍しいものだ。 外を見るとマコト様はいつもの様にキラキラとした笑顔を振り撒いている。 どうかご無事で戻って来られますように。
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