隣の席の五十嵐くんは。

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* 翌日。 『水族館のジンベエザメが逃げ出したんだってさ』 『ペンギンって実は不死身なんだよ。え、知らなかった?』 などなど。 なぜか水族館ネタ攻めで、今日も五十嵐くんにひと通り騙された私は、なんだか疲れてしまって、放課後に自分の机で眠ってしまった。 少しだけ。 5分だけ、目を閉じるだけだから。 そう思っていたのに、目が覚めた頃には、教室中はシーンと静まり返っていて、大きな壁掛け時計はまもなく午後5時を示すところだった。 「えっ、5時!?もう少しでチョコレートの海で溺れるところで……っ」 「なんだそれ」 夢と現実が混ざり合ったひとりごとに、笑いながらの返事があって、隣を見るとそこには五十嵐くん。
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